木のおもちゃ職人 新羅孝志の公式ブログ

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木のおもちゃで子育て

はじめに

 子供は遊びながら学び、成長していくものです。私も子供達が小学生になり、家が手狭となったこともあって、金沢の町中から、白山麓の自然豊かな環境へと移住しました。家のすぐ裏には山の斜面があり、5分も歩くと手取川があり、子供たちは山遊び、川遊びが学校が終わっての日課になっていたようです。

 私はというと、子供たちの成長に合わせた、おもちゃ作りにはまってしまいました。

 移住した当時は、周りに家はなく約40年前に廃校になった小学校の木造の体育館があったり、目の前は田んぼ、裏は山で、少々工作機械を動かしても誰からも苦情を言われることなく仕事終わりや、土日に思いっきり、こども達のために木工作品つくり、特に木のおもちゃ作りに精を出す事が出来ました。当時の作品は今でも廃棄せずに棚に飾っています。

 ある時、デパートのおもちゃ屋さんで「おもちゃコンサルタント資格取得」のパンフレットを妻が私に見せてくれました。私の手先が器用なところと、なんとなく私が興味ありそうだなと思っての事でした。

 しかし、その資格取得には約10万円程の資金が必要だったので、すぐに資格を取得しようとは思わず、パンフレットは財布の中にしまい込んでいました。それから月日が経ち、子供達も成人となったところで私にも時間的な余裕がうまれ、おもちゃ作りに生かせるのではないかと思い、資格を取ることになりました。

 「おもちゃコンサルタント」という資格を得たことによって、おもちゃに対する考え方や取り組み方、環境等々色々なことを学ぶ事が出来ました。その中の一つに「木育」と言う言葉があり、木のおもちゃで子供を育てる事を学びましたので、どのように木のおもちゃで、子供たちを育てられるのかを記述していきたいと思います。

五感の刺激

 お子さんには、感性の豊かな人になってもらいたいと思いませんか?

 「感性」と似た言葉に「感受性」があります。「感受性」はわかりやすく例えると綺麗な夕陽を見て涙ぐんだりすることで、「感性」は綺麗な夕陽を見て詩を作ったり、歌にしたりする力のことです。

 感性が発揮される代表的とされるものを3つピックアップしてみます。

  • 芸術作品を鑑賞している時

 美術館などで展示されている芸術作品はどれも個性豊かなものばかりです。形や色が駆使され、 描かれている人物などには表情があふれています。これらを観て「何だか楽しそうだ」「何だか元気が湧いてくる」など 作品に対しての自分の感覚が湧いた時に感性が発揮されます。

  • 小説や映画などに触れた時

 小説や映画などに触れた時に、「面白い」「元気が出る」等と感じる事が感性が発揮された事になります。

  

  • 人との会話をしている時

 人とお話をしている時は五感をフルに使って、感覚で話の内容を理解しようとしていることそのものが、感性を働かせている瞬間といえます。

 五感とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚で人の成長には欠かせない感覚だと言われています。 体の成長においても、食事においてもこの五感は大事ですが、心の成長においてもこの五感が必要なのです。

 小さな子供にとっては、この五感を刺激する一番は木のおもちゃだと思います。

 小さな子供にとって、一番心地よいと感じる素材は人の肌です。赤ちゃんが生まれるまでの10か月余りは子宮の中で命が守られ続け、生まれてからもお母さんのおっぱいに吸い付き栄養補給。そして、お顔や、手足を触ってあげると大変喜びますが、触っているお母さんも赤ちゃんの柔らかい肌に 癒されているのではないでしょうか。

 2番目の素材として木があげらると思います。肌ほどではありませんが、木に対してぬくもり、すべすべ感、 安心感を味わう人は多いのではないでしょうか。

 木製のガラガラを振ると心地よい音がしますよね、また、積み木を重ねる時の音、はたまた、積みあがった積み木が崩れる時の音、あのガラガラっとした雑な音の中にも心地よさは、他の素材では感じられないのではないでしょうか。

 音だけではなく、見た目の自然を感じる色や、触った感じのぬくもり、その形状にも癒しを感じ、赤ちゃんであれば舐めたり、かんだりと言った口での感触も大切な感じ方ではないでしょうか。これらは、おもちゃから一方的に与えられるものでゃなく、人からのアプローチによって自らが望んで行なった行為に対してのご褒美だと私は思います。

木育

 日本の森林の面積の割合は国土面積の約3分の2となっていて国土の殆どが木で覆われていると言う事になります。 その中でも北海道はその割合が高く、「木育」という言葉は、北海道から生まれたもので、木材の活用やその意義を伝えるためのものです。

 2020年は全国的に熊の被害や出没情報が多く聞かれました。原因の一つは熊のえさとなるブナやミズナラの実の不作と言われています。もう一つは、林業に携わる人の減少によって山の手入れが行き届かず、クマと人間の境界線が近くなったことが原因と言われています。

 木育は、このような林業や木材にかかわる環境を改善しようと、色々な視点で木に関する情報を発信し、環境改善が広まることを目的にしています。木のおもちゃ作り、遊び方の伝承等の活動もその一部と言う事で、木のおもちゃの良さを知っていただき、子供たちに遊んでもらい、またその子たちが大人になったときに、次世代に継承されるようになればと思っています。

 木という素材の特性上、あまり複雑な機構を組み入れる事が出来ないために、自らの働きかけがない限り楽しむ事が出来ません。手を使い、頭で考え創造力の結果が、次の新たな行動や遊びとなって続いていくのです。 赤ちゃんに与えるおもちゃで一番気を遣うのが「誤飲」ですね、小さな部品や、壊れたり、外れたりして危険なものもありますが、おもちゃを製造する方々も、そのことに関しては一番気を使って製作しています。

 「木育」から生まれた安全な木のおもちゃで安心して遊ばせる事が出来る様に、親だけではなく、我々おもちゃを製造する立場の人間も、子供の心の成長を促す環境を作り上げていかなければないと考えています。

 

静かなお部屋で遊ぶおもちゃ

 

小さな音がでるおもちゃ

 まだ、目がよく見えない赤ちゃんでも、音には敏感で、大きな音を立てるとビックリして泣き出すこともあるくらいですよね。

おもちゃの種類

 ガラガラ 心地よい小さな音、小さな動き

おもちゃの選び方

 お母さんがささやく程度で聞こえるような、小さな音でも、赤ちゃんは敏感に反応します。静かな部屋で、木と木がぶつかりカチカチとなる音がよいでしょう。また、そっと赤ちゃんの手のひらに指をもっていくと、自然と握り返していくれるます。この感触には親も癒されます。指ほどの太さの物であれば握ったり離したりします。少し重さも感じられるくらいの物を選びましょう。

おもちゃの遊び方

 最初は、大人が振ってあげて音を楽しませてあげてください。そのうちに目で追いかけるようになると、手が出てきます。そっと握らせることによって、木の感触も味合わせてあげてください。

 

色々な音を楽しませて

 体内にいる時から耳は聞こえているのです。最初に発達するのは聴覚ですから、優しい音、色々な音色を聞かせてあげてください。

おもちゃの種類

 優しい音が出る笛や、鈴、種類の異なる木でできたガラガラなど。

おもちゃの選び方

 手は動くものの、その振り方はまだ手加減を知りません。急に動いたり、握ったおもちゃを嘗めようとしても目のほうに持って行ったりします。大きな振りに対してもやかましくない音だったり、角のない丸みの帯びたおもちゃを選びましょう。

おもちゃの遊び方

 赤ちゃんに自由に遊ばせるのが基本ですが、赤ちゃんには自覚がありません。上手に遊んだ時に「じょうず」「すごーい」とか拍手によって褒めてあげたり、ちょっと危ないようだと「だーめ」とやさしく叱ること、その動きに制限を与えることで、鳴らしかたの加減を知らせることも大事です。赤ちゃんはその様子を感じています。

 

両手づかみや握ったおもちゃを手放して転がしたり

 お座りができるようになると、握り方もしっかりし、握ったおもちゃを手放して転がしたり、転がったおもちゃに向かっていこうと行動範囲も広がります。

おもちゃの種類

 転がるガラガラ

おもちゃの選び方

 おもちゃに対する興味がわいてきて、握るだけではなく、中身に触ろうとしたり取り出そうと指を入れたりかじったりしますので、丈夫なおもちゃを選びましょう。

おもちゃの遊び方

 今までは、手渡しで与えていたおもちゃも、近くに転がしてあげたりすると、よちよちと追いかけようとします。 手放したおもちゃを、大人が上手に転がして返したり動きに変化を与えて大人も楽しんでください。

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